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オペラの夜

友人からチケットがリーズナブルな価格で手に入るのですがいかがですか?とお誘いを受けたのが、
イタリア・ベッリーニ大劇場・日本公演「ノルマ」@上野東京文化会館。
42年も生きてきて、劇場でオペラを観るのはこれで2度目。
1回目は日本語版の「魔笛」だったので、本場イタリア・オペラ、初でございます。

素人なので、入場したらすぐにプログラムを購入して、ストーリーと見どころを予習。
オペラ好きな友人からは「長いよ」と言われていたから、ちょいと覚悟していたんだけど、これがすっごく面白かったの!耳になじみやすい旋律で、分かりやすい音楽なのがよかった。そして…、三角関係のドロドロを描くストーリーが、ゴージャスな昼メロを観ているよう!舞台両脇に設置されている電光掲示板の日本語字幕スーパーを目にしながら、ゆいと笑いを堪えてました。

舞台は、ローマ帝国の支配下にあるガリア地方。主人公のノルマねーさんは、部族の意志決定を司る巫女の長。ローマに対抗して戦おうぜ!と血気盛んな男どもを、「神はまだそれを望んではいない」と鎮めている。
でもそれは、本当の神の声じゃあないの。実はノルマねーさん、敵のローマの将軍とできちゃっててさ、2人の子供まで作っちゃってたの。でもこれはトップ・シークレット。ノルマねーさん、祖国を裏切るようなマネをしてまで、好いた男のために尽くしていたわけ。

ところがですよ。ローマの将軍さんは、ノルマねーさんから心離れちゃってて、若い巫女にぞっこん。

言い寄られている若い巫女は、上司のノルマに相談を持ちかけるわけ。その打ち明け話を聞いたノルマねーさんったら、「ああ、私もそうだった…。あの時の私。あの時の彼。」と思い切り共感モード。だから自分の願望をこめて「巫女としての責任はいいから、恋を成就なさい」とアドバイスするんだけど、そのお相手を聞いた時に運悪くローマの将軍が現れて、絶体絶命の3人模様!

ノルマねーさん、「私のことは捨てて、2人でどこへでも行けばいいわ!」と強がるものの「でも私の呪いからは逃れられないわ」「その恋は楽しめないわよ」と毒吐きまくり。
と、ここで前半が終了。

後半は、子供を殺そうとするノルマねーさんの葛藤から始まるの。
あの人との子供を殺したら、どんなにあの人は苦しむだろう。憎い!憎い!でも、母として、この子たちを殺すなんてこと…。

「呪ってやる!」という言葉に、僕もゆいも反応しまくり。
これだったら「牡丹と薔薇」もオペラにすべきじゃん、と思っちゃった。
というか、大衆芸能だったのね、オペラって、というのが分かりました。

ノルマねーさん役のディミトラ・テオドッシュウさん。オペラ初心者の僕でさえ、歌唱力のすごさに圧倒されましたよ。好いた男の心をつなぎ止めたい、でも憎い、恨めしい、プライドもある、それらの感情を歌い上げる声のなんと豊かなこと。
人の声が持つパワーを思い知りました。キモチの起伏を強引にシンクロさせてしまう歌唱力。劇場中の空気を支配する声。いやぁ、すんごい。
4時間ほどある本編のあとは、拍手がいつまでもいつまでも続いて、何度も何度もカーテンコール。
オペラっていいかも…。また機会があれば行きたいな。リーズナブルな機会があればね(^^;


ところで、もうひとつ感慨深いことが。
それは、子供の頃に何度も連れていってもらった上野の東京文化会館が、古さを感じさせないままそこにあったこと。前衛的な優れた建築物は、時が経っても生命力がみなぎっているんだなぁと。
僕は子供のころから「劇場」という空間が大好きで、上野公園に連れていってもらうと、必ず東京文化会館の中に入って、ただ劇場の中をうろうろして楽しくしてたんですよねー。
僕、なんでそっち方面に行かなかったんだろう…。

  by tzucca | 2006-06-30 23:01 | → ART&CRAFTS

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