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モーガン・スパーロックの『30デイズ』

a0028078_1482165.jpgミニシアター公開作なのに、なぜか知ってる人がすごく多い「スーパーサイズ・ミー」。
その作品で、30日間1日3食マクドナルドに挑戦して、酷い目にあったドキュメンタリー作家モーガン・スパーロックが、同様のコンセプトでTVシリーズ<モーガン・スパーロックの『30デイズ』>を制作。
アメリカでは2005年6月からFX局でオンエアされて、ドラマ以外の番組としては同局史上最高の視聴率を記録したそうで。全6回なんだけど、すでに第2シーズンの制作も決まったようです。

日本では、先月末からWOWOWでオンエア。
全6回の内容は、
1)最低賃金で30日間
2)アンチエイジングを30日間
3)イスラム修行を30日間
4)ゲイと一緒に30日間
5)自給自足で30日間
6)酒浸りで30日間

第1話の「最低賃金で30日間」だけ、モーガン・スパーロック自身のチャレンジ。「スーパーサイズ・ミー」がアカデミー・ドキュメンタリー部門受賞を逃したところから始まるのが笑える。
日本でも最低賃金での生活は相当厳しいと聞きますが、アメリカもかなり悲惨なんだよね。「スーパーサイズ〜」同様、カラダを壊しながらも、体験することで初めて実感する問題提議を、MTVのドキュメンタリー番組のようなタッチで見せてくれます。

シリーズ中で特に面白かったのは、第3話「イスラム修行を30日間」と第4話「ゲイと一緒に30日間」。WOWOWでは、2話分まとめてのオンエアだったので、この2本立ては濃かった!

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第3話「イスラム修行を30日間」
アメリカでは9.11以降、イスラム教徒=テロリスト集団と決めつけている人がほとんどのようです。
イスラム教徒は全世界で10数億人いるんですよ。アメリカの人口は3億人弱。すでに数で負けてます。
番組では、敬虔なクリスチャンの白人男性が、アメリカ国内でイスラム教徒が多く住んでいるミシガン州ディアボーンで、30日間ホームステイします。

驚いちゃったのは、その白人男さんって、キリスト教もユダヤ教もイスラム教も、元は同じ神から生まれているっていうのを知らなかったんですよ!なぜエルサレムが3つの宗教の聖地なのか、疑問に思わなかったのでしょうか。
番組のルールでは、郷に入ったら郷に従えであるにもかかわらず、その白人男さんはホームステイ先の家族とは親しくなっても、イスラムのお祈りにはなかなか参加しません。合同集会に参加しても、1人突っ立てるだけ。自分の信仰を否定したくないから、何をやっているのか何を唱えているのか理解できないから。それが理由。
中盤になって、お祈り作法と唱えている言葉の英語対訳付き解説シートを手に入れてやっとほっとしたんだけど、それでもまだやろうとしないんだもんなぁ。

う〜む。一神教というのは、そういうものなのか。八百の神がいて、いろんな宗教行事をリミックスしてイベント化しちゃう一般的な日本人とはえらい違いだ。
たぶん日本人なら、番組の趣旨を理解したうえで合同集会の場に居合わせた場合、理解していようがいまいが、見よう見まねで儀式に参加しちゃうと思うのね。
そういう国民性だから「ウルルン滞在記」が成立するんだろうなあ。

自分を変えることが恐怖みたいなんです、その白人男さん。そんな偏屈男を招き入れたホームステイ先も、正直うざったかっただろうけど、親切でバランス感覚のあるできたご夫婦なので番組が保っています。
30日も近づいてくると、さすがにその白人男さんも、イスラム教徒=テロリストなんかでなく、一般的なキリスト教徒より遙かに厳しい規律を守って生きている平和的な人たちであることを理解していきます。

イスラム教徒さんの日常生活って、僕も知らないことばかりなので、とても興味深い内容でした。でもね、逆差別になっちゃうけど、クリスチャンの白人アメリカ男って、みんなこんな頭悪い人ばかりじゃないよね?とも思っちゃう内容でした。


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第4話「ゲイと一緒に30日間」
クリスチャンで保守的、同性愛を完全否定している24歳のイケメン白人青年(またかよ)ライアン君が、サンフランシスコにある住人のほとんどが同性愛者というカストロという街で30日間生活。
この回でも、保守的クリスチャンのライアン君とルームシェアをするゲイ男性エドが、バランス感覚のあるすごくできた人間なんですよ。教養もセンスもあって、一流のビジネスマンで。このシリーズは、ホスト役の人選がすばらしい。

田舎育ちのライアン君は、都会の同性愛者ばっかりの環境の中で、いきなり自分がマイノリティの側になってしまったことに居心地の悪さを感じます。
エドは、ライアン君をゲイの社交場みたいなジムや、レストラン、バーに連れ回すんだけど、あまりにも視野の狭い田舎者なことに、ちょいとうんざり。それでも逆ギレせずに、フレンドリーに接するエドは偉いよ、ほんと。

ライアン君が同性愛を受け入れられないのは、聖書で認めていないから。ということで、ゲイタウンにある教会の女性牧師の元を何度か訪れるんです。
聖書にある「女と寝るように男と寝るのは憎むべきことだ」(レビ記18章22節)という一節。自由の国アメリカでは人はみな平等のはずという2つの価値観。
アメリカ大統領選の焦点にもなった同性婚問題も、これが問題の焦点。
牧師は言います。「聖書で同性愛を認めてあれば、あなたは認めるの?」「聖書には"殺すなかれ"と書いてある。でも軍では銃を?(ライアン君は軍に入っていた)"殺すなかれ"に関しては抜け道があるようだけど、"同性愛は罪"に関しては抜け道はないのかしら。」
聖書の解釈では最後まで納得のいかないライアン君ですが、エドに対しては拒否反応はないばかりか、ベストフレンドになっていきます。
終盤、娘からゲイであると告白された親の話を聞きに行きます。
「お前はなぜ自分がゲイだと分かる?」「お父さんはなぜ自分が異性愛者だと分かったの?」
理論でなく娘を愛する親の純粋なキモチに、今まで頑なだったものが見事に溶けちゃったライアン君。

ホームステイの間働いていた、思い切りオネェな店長のいるワインとチーズの店で得た知識を生かして、ラストはお世話になった人たちを呼んでのワイン&チーズ・パーティ。ライアン君、この30日間で劇的に変わりました。

田舎の実家に帰って、家族と再会して感じたモノローグ。

「家族の反応を見て、以前の僕を思い出した。自分が変わったのを自覚した。自分の視野が、いかに狭く偏ったものかーーまったく気づいてなかった。知らずに判断を下す前に、まず自分の目で見ることだ。」

ぱちぱちぱち。そのとーりです。
途中までは、またまた、クリスチャンの白人アメリカ男って頭悪いんじゃないの?一神教の弊害ってのもねぇって思っていたんだけど(知らずに判断下している俺)
この回はできすぎた感があるほど、1人の人間が体験によって成長していく様子を番組にしていました。

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WOWOWでのオンエアでは、ラストにモーガン・スパーロック氏による各エピソードについてのコメントがあります。第3話がシリーズ化する前のパイロットだったことと、イスラム教について公平な描き方をした番組だったことに感謝する反響が大きかったんだって。また、第4話はスパーロック氏が一番気に入っているものらしい。やはり、ライアン君の劇的な成長がよかったんだね。

でね。「ブロークバック・マウンテン」を観る前に、この第4話を観ておくといいかもよ、と思ってBLOGで紹介しました。
面白いシリーズだから、WOWOWのリピート放送か、DVDもリリースされているので、おすすめです!あ、そうそう。もし「スーパーサイズ・ミー」が未見だったら、まずそれを観てからね。

WOWOW 『スーパーサイズ・ミー』スペシャル モーガン・スパーロックの30デイズ特集ページ
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  by tzucca | 2006-04-23 03:41 | → MOVIE

「エミリー・ローズ」

荒涼とした土地に建つ一軒家で、明るく聡明な女子大学生だったエミリー・ローズが、悪霊に取り憑かれ、変わり果てた形相となって死亡。そして悪魔祓いの儀式を行ったムーア神父が、過失致死罪で告訴されることに。宗教的な対処ではなく、精神医学の治療によって彼女を救うべきだったという世論によって。
悪霊に取り憑かれた状態というのは、精神医学のうえで類似した症例があって、投薬によって回復の見込みがあったにもかかわらず、脳の機能を一部麻痺させるクスリの効能が悪魔祓いの効果を妨げるという理由で、神父がクスリの服用を中止させたのが「罪」というワケ。実際は、エミリー自身がクスリの服用を断ったのだけど。
エミリーは本当に悪霊に取り憑かれていたのか。精神医学で救うことができたのか。悪魔祓いの儀式の失敗が、エミリーの死の直接の原因なのか。

悪霊に取り憑かれた少女といえば、オカルトというホラージャンルの映画になるのだけど、「エミリー・ローズ」が描くのは、事件の真相を裁判によって明かしていくという法廷劇。それが新鮮。だからストレートなホラー映画では到達しにくい境地へまで、結末を持って行くことができた傑作となりました。

法廷劇とはいっても、やっぱりコワイんですけどね。過剰な恐怖演出でなく、理論的な展開の中で目に見えない邪悪な気配を描くのだから、妙にリアルなコワサがあるんです。
なんといっても、映画の冒頭「この映画は実話に基づいている」とテロップが出ますからね。
1970年代に旧西ドイツで実際に起こった事件がベースになっているんです。

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キリスト教の悪魔祓いを世間に知らしめて、オカルト映画というジャンルを確立させた「エクソシスト」が制作されたのが1973年。「エクソシスト」は、1949年メリーランド州で起こった14歳の少年に起こった事件をベースに書かれた同名小説の映画化です。
映画「エクソシスト」と「エミリー・ローズ」の元となった事件の関連性はなにかしらあるのかな。悪魔祓いというものへの注目度は違っていたかもしれませんね。
社会的な影響といえば、数年前から悪魔祓いの需要がすごく伸びてるらしいんです。精神疾患に当てはまるものも多く含まれているようですが、バチカンもこの状況を受けて、悪魔祓いについての特別講座をいくつかの神学校で開いているらしいですよ。

「エミリー・ローズ」は、一般のホラー映画を見終わったのと違う余韻を残す映画ですけど、エンド・クレジットが流れている間、どうにも自分の中で納得しきれないものが去来してたわけ。それは、映画の作りについてのつっこみではなくて、悪霊というものは存在すると思うのだけど、なぜエミリーに取り憑いた悪霊は、きちんと聖書世界の設定に沿っているのだろう?
悪魔祓いには、憑いている悪霊の名前を問うのがお約束ですが、悪霊って本名を名乗るものなのかな。
自分にとって都合のいい有名な悪魔を名乗ってる場合はないのかな。悪霊に真実を迫るのもどうかと思ってしまうのですが、それって推理小説でトリックが暴かれると、犯人はうそを言わないというルールに近い「様式」みたいに思えちゃうんですよね。
神の存在を絶対的にするために対極にある悪魔の存在を絶対的とするキリスト教の設定が、あいまいさに潜む可能性までも単純に2分化しているようで、釈然としないのです。
取り憑いている悪霊が異教のものだとしたら、キリスト教ではどのように処理するのだろう。日本にも狐憑きを祓う儀式があるように、キリスト教圏でない世界でも儀式として「悪魔祓い」は行われていますから。

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最後に話を映画にもどしましょう。
エミリーに異変が起こりはじめた頃の描写が、本当に邪悪な存在のせいなのか、精神疾患のせいなのか、判断がつかないように描いているのがリアルだなぁと思いました。
生前のエミリーの言葉から再現される主観的な部分では、確かに超自然な力によって支配されている様子を描きます。でも大学構内での第三者の証言などから再現される客観描写の部分では、精神疾患の症状に見えるのです。この描き分けは、面白かったなぁ。客観描写部分では、独特な色彩設計やカメラワークによって、「サスペリア」を作ったスタイリッシュ・ホラーの帝王ダリオ・アルジェントの作品みたいな味付けがされているのもお楽しみです。
エミリーを演じたジャニファー・カーペンターの熱演がすさまじいの一言。野心家の女性弁護士ローラを演じたエリン・ブルナーの、自信と恐れに揺れながら凜としている演技もよかった。

こういう裁判の陪審員に任命されてしまったら、どういうジャッジを下さなければならないか、すごい考えものです。
「ブロークバック・マウンテン」と同じ日に鑑賞したのですが、2作に共通しているのがキリスト教という信仰から生まれる弊害と生きている人間の愛というのが、興味深いところでした。


(2006年4月9日・TOHO Cinemas 六本木ヒルズ)

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エミリー・ローズ公式サイト
「エミリー・ローズ」公式ブログ

<関連記事のリンク>
→「エミリー・ローズ」に関して、悪魔憑きの精神医学的な立場からの記事が興味深い、『シカゴ発 映画の精神医学』BLOG記事


●かなり前に読んだ本ですが、講談社プラスアルファ文庫から出ている上田紀行 (著)「悪魔祓い」がかなり面白かった。スリランカでの調査から、悪魔に出会うことで「生」を取り戻していく「癒し」をプロセス化した悪魔祓いの儀式を、文化人類学の立場から分析しています。
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  by tzucca | 2006-04-22 15:34 | → MOVIE

「ブロークバック・マウンテン」

a0028078_222669.jpg映画を観てから10日あまり。染み入る余韻と押し寄せてくる感情、いろいろ考えさせられちゃって、すぐにはレビューを書けなかったよ。
(たんに忙しかったってのもあるけど)

1963年の夏。アメリカ西部、ワイミング州ブロークバック・マウンテン。羊の放牧を監視する仕事を任された2人の青年。
美しい大自然と画面を埋め尽くす羊の群れ。厳しい山の生活が、2人に強い友情を芽生えさせ、やがてそれは肉体関係へと。2人で過ごしたブロークバック・マウンテンの時間が、その後20年におよぶ2人の関係と、現実の生活から逃避する拠り所となっていく…。

今年のアカデミー賞で監督賞、脚色賞、オリジナル音楽賞の3部門受賞。作品賞を逃したことが、受賞した作品よりも大々的に報じられる結果に。
ゴールデングローブ賞主要4部門、ヴェネツィア国際映画祭グランプリ<金獅子賞>受賞ほか、アカデミー賞以外の権威ある映画賞をみごとに総ナメにした、2006年を代表する映画です。

男同士の純愛というテーマながら、決してスキャンダラスな描き方ではなく、人が人を求めるキモチと葛藤、変えることができたかもしれない過去、変えることができなかった現実を、静かに繊細に描き出していきます。アン・リー監督の、ココロの描き方が絶妙なんです。そして雄大な自然が哀しいまでに美しいのです。
すばらしい映画でした。その一言に尽きます。

でも、娯楽映画ではないし、世界は自分を中心に回ってると勘違いしてる人には、さっぱり分からない映画かもしれません(笑)

男同士の友情と恋愛の境界線って、たしかに存在はしているけれども、決してどこまでも続く高い塀ではないと思うのね。たぶん、女性が思っているよりも、その境界線ははるかにあいまいなんだと思います。
あと、家庭や仕事に疲れて「僕の人生はこんなだったのか?」と目の前の現実が色あせてしまうような時、まだ夢や希望に満ちていたある時期や場所を「聖地」のように心に秘めることって、男なら誰にでもあることだと思うんですよね。
そんなキモチに思い当たる人だったら、人生で一度は観ておくべきかも。内容が分からなくても、極上の映画というものを味わっておくべきです。

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さて。以下はネタバレもあるので、ご注意を。

2人の青年、ジャック(ジェイク・ギレンホール)はゲイで、イニス(ヒース・レジャー)の方はノンケに近いバイセクシャルだったと僕は感じました。
2人しか存在しない、お互いの存在を強く意識するしかない、ブロークバック・マウンテンで過ごした日々。そんな環境のなか、片方に受け入れる準備さえあれば、人肌の恋しさから一気に性衝動が起きたとしても不思議じゃないよなぁ。唐突に思える一線を踏み越える瞬間も、2人しかいない世界で、一瞬の躊躇はあっても同性として遠慮はいらないだろ?って了解が瞬時に交わされて、衝動を抑えきれなくなっていく様子がリアルに感じちゃった。
でもね。いくらジャックがゲイで、行為に慣れていたにしても、そんな急に受け入れちゃって痛くないの?と余計なことを考えちゃったけども(^^;

翌朝、ちょいと気まずい雰囲気になる2人。ありがちです。「昨夜のことは1回きりだ」そう切り出すイニスだけど、夜のテントで裸のジャックを前にすると、自然に抱き合うんだよね。それが、ほんと、余計なセリフで説明しなくても、すごく自然なの。
一線を越える前、ジャックの背後で、仕事を終えてテントに戻ってきたイニスが全裸になって着替えるという1カットがあるんです。何の意識もしていなかったら、普通に振り向いて会話しててもいいのに、ジャックは前を見つめて決して振り向かないんだよね。なんて繊細な描写なんだろうと思いました。ほかに映像面、色彩設定でもすごく丁寧な作りをしているんだけど、長くなりすぎるからやめとこう(笑)

イニスには、ゲイに対するトラウマがあるのね。それは、幼い頃父親に連れられて、リンチで殺されたゲイの死体を目にしたこと。さらにその行為の首謀者が父親だったというショック。
今でさえ保守的なアメリカ西部だから、1963年のゲイに対する差別は相当なものだったのでしょう。
「聖書に書いてあるから」という理由で同性愛を認めないキリスト教徒が、人を傷つけてはいけないという教えに背きながらも、正しいことをしていると思いこんでゲイ・バッシングするという矛盾。今でさえ、そうなんですね、ブッシュを支持している地域では。

山を降りてからの2人。イニスは結婚し、貧しい家庭で双子を育てていきます。ジャックはうだつの上がらないロデオの選手から農機具販売で成功している父親を持つ西部美人と結婚。
生活のために働き、子供の面倒をみて、自分の人生が自分のものでなくなっていくのを受け入れていくしかない日々。

4年後、イニスとジャックは再会します。
ジャックの到着を家の中でそわそわして待つイニス。車が止まる音を聞いて玄関を飛び出すと、再会の喜びに抱き合って、激しくキスを交わします。この再会でイニスの中にスイッチが入ってしまったようです。封印していたはずのスイッチ。厳しい現実から一時逃れることができる魔法のスイッチ。
たまたまその光景を目撃してしまったイニスの妻。田舎娘で平凡な家庭しか世界のない妻に、その光景は理解のできないこと=裏切り行為にしか写らなかった。当然かもしれないけれど、悲しいことです。

それから年に数回、時には数年おきに、2人はブロークバック・マウンテンで数日間を過ごし、関係を育てていきます。逢瀬であると同時に、1963年のあの夏を追い求めているかのように。

生活をほっぽり出して、嬉々として男2人でレジャーに出かける。
女房たちは、どう感じる?
すべてがオーライではないけれど、なんだかんだ、人生をうまくこなしているジャックに対して、イニスの生活はどんどん荒んでいきます。せめてイニスの家庭が、癒しの場であり心から守っていきたいと思えるものであったなら、イニスの生き方も変わっていたかもしれないのに。

ジャックが切り出した、家庭を捨てて、2人で牧場を経営しようという夢。イニスはそのアイデアには乗れません。家庭があるからという現実的な理由よりも、男2人での生活=リンチで殺される対象というトラウマから逃れられないから。
だからイニスが離婚して、家庭という束縛から解放されても、2人の関係は変わらないまま。
20年の時が経過して、ついに想いのたけをぶつけたジャック。変えられたかもしれない過去、何も変わらなかった現実。ジャックの感情はイニスの抑え込んでいた心の石をも動かしてしまった。お前と出会わなかったら…自分の人生は…と泣き崩れてしまう。
後悔ではなかったのだと思う。イニスの人生にとって、どういう関係であれジャックという存在は必要だったのだと思う。ただ、背負うものが重すぎてイニスにはどうすることもできなかった。

ラストのとても穏やかなイニスの表情が哀しいんです。こういうカタチでなければ、イニスが重荷を降ろして愛しあえなかったことの哀しみ。
いつも2人の心にあったブロークバック・マウンテンの風景。
ジャックの妻が「実在しない理想郷のことを言っているのだと思っていた」というブロークバック・マウンテン。
その風景の絵ハガキとともにしまわれたジャックのダンガリシャツ。時を止めて、本当に愛し合った1人だけを愛し続けるだけでいい人生を、ハッピーエンドと呼んでいいのだろうか…。
口づけを交わした幸福の絶頂で「THE END」になるようなおとぎ話ではなく、人にはその後の人生もきっちりあるわけで。「THE END」の先につづくラブストーリーは、熟成されながらもほろ苦かった。
あらためて、自分自身と愛する人を、どうやったら愛し続けていけるだろうかと考えさせられたのでした。

僕は、どちらかといえばイニスに近い男だし。。


(2006年4月9日・日比谷シャンテ シネ1)

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「ブロークバック・マウンテン」公式サイト

アップル・QuickTimeムービー「ブロークバック・マウンテン」予告編

ブロークバック・マウンテン@映画生活

<関連記事のリンク>
ブロークバックの衝撃2
「ブロークバック・マウンテン」は今後のハリウッド史の中で「アカデミー作品賞を与えられなかったことが衝撃を与えた作品」として、長く語り継がれるだろう映画である
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  by tzucca | 2006-04-19 01:49 | → MOVIE

究極の高カカオチョコ登場!<CACAO99%>

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カカオに含まれるポリフェノールの健康効果が注目されてから、チョコレート売り場にカカオ含有量70%以上の輸入板チョコをよく目にするようになったよね。
映画「チャーリーとチョコレート工場」を観たあとって、無性に洋もの板チョコが食べたくならなかった?わざわざ「明治屋」や「成城石井」まで行かなくても、近くの「ナチュラルローソン」でコートドールの板チョコが買えちゃう世の中ですよ。といっても、1枚300円以上。モノによっては700円以上するものも。

そんな、カカオ含有量の数字が大きくパッケージされたベルギーチョコ売り場に、まずはロッテから国産高カカオ板チョコレートが登場!
『カカオの恵み』カカオ配合量別3ラインナップ、<85%CACAO><75%CACAO><70%CACAO>がそれ!
カカオ含有量の数字が大きくパッケージされて、もろに打倒ベルギー産!
うれしいことに、値段が186円!しかも本場ベルギーチョコに比べてもかなりおいしく仕上がってます!

そして、カカオ・ポリフェノールにポイントを置いた『チョコレート効果』を出していた明治製菓からも高カカオ板チョコレートが登場!
『チョコレート効果』カカオ配合量別3ラインナップ、<CACAO72%><CACAO86%><CACAO99%>がそれ!
カカオ含有量の数字がロッテのと違うのは、わざとなんでしょうね、やっぱり。こちらも手頃なお値段(180円)と味のこなれたビターチョコレートなのですが……。
パッケージが小さくて値段が210円と他の2つよりちょっと高い<CACAO99%>が異様な存在感を放ってます!

CACAO99%>…砂糖を一切加えずにカカオ分で仕上げた究極の高カカオ板チョコレート。

パッケージや売り場の棚には、

[非常に苦いチョコレートです。]


という警告のような注意文が。
つづいて、<お口で少しずつ溶かしながら、又は甘い飲み物と一緒に召し上がることをお勧め致します。>とあります。うわー、やばそう!


WEBチームで、86%99%を並べてみなで食べてみました。
まずは99%をおそるおそる、ちょこっと口に。

▲@×◎◆!ハンパでなく苦い!!すんごい!


漢方薬を飲み慣れてる僕でさえ、怖じ気づく苦さ。
ひとかけらを、ちびちびゆっくりと食べきって、はううう〜とため息。
これ、1人で全部食べるの、数日かかります!たぶん、カレーに混ぜてしまいたくなる衝動が生まれるでしょう(笑)
つづいて食べた86%が、すっごく甘く感じました。86%だけを食べた時は、けっこうビターに感じたのだけど、少しでも甘さがあるのとないのとでは、こんなにも違うのね!

いやぁ。ビックリしました。
無くならないうちに、みんなチャレンジしてみることをお勧めします。ちゃんと注意文にあるように、甘いものを用意して一緒にね。


さて。カカオのポリフェノール効果と言われても、どうカラダにいいのか、法律に触れるためにパッケージや製品サイトには書いてないから分かりません。ちょいと、まとめてみましょう。くわしく知りたい人は、ググって!(笑)
チョコレートでダイエットできる!と一時話題になりましたが、<CACAO99%>で思い知ったように、チョコレートをおいしく食べるには、カカオのほかに砂糖やミルクが必要です。カラダにいいからといってチョコばかり食べてると、砂糖や脂肪分の摂りすぎで、たんにデブになっちゃうからね。カカオ・ポリフェノールの健康効果を期待するなら、カカオ含有量70%以上のチョコレートを1日50gを目安に!

カカオ・ポリフェノールの健康効果
・身体的&精神的ストレスに対する抵抗力を強める
・動脈硬化の予防
・抗酸化作用によるガンの予防
・活性酸素の過剰発生を抑えることでアレルギー症状を抑える効果
・天然の精力剤効果

カカオ豆を中米からヨーロッパに持ち込んだのは、コロンブス。以来、カカオ豆は薬として用いられたり、貨幣としても使われてました。でも、砂糖を加えて飲む方法が生まれた150年ほど前までは、ひたすら苦い状態で口にされていたんですよね。<CACAO99%>も、クスリだと思えば!(笑)

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ロッテ:ニュースリリース
カカオの配合量を変えて3種類揃えました!
『カカオの恵み<85%CACAO>』『カカオの恵み<75%CACAO>』新発売
2006年3月28日(火)から全国で発売
『カカオの恵み<70%CACAO>』は全国でリニューアル発売


明治製菓:プレスリリース2006年4月4日
「チョコレート効果 板カカオ99%」
「チョコレート効果 板カカオ86%」
「チョコレート効果 板カカオ72%」新発売

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  by tzucca | 2006-04-15 23:55 | → DRINK&FOODS

映画的人格分析(洋画編)

最近あちこちで見かける「あなたの成分分析」ってやつ。
これ、WEB上で自作できるんですよ。
というワケでさっそく僕も作ってみました!
ジャンルを問わず、僕が好きな映画であなたの人格を語ってみせましょうや!

さあ、やってみるがいい!↓
http://seibun.nosv.org/maker.php/tzucca/



僕の結果
本名の漢字だと…(姓名の間に1文字空けると別の結果になる)
 87%は「マトリックス」で出来ています
 9%は「バットマン」で出来ています
 04%は「スター・ウォーズ」で出来ています

→なかなかじゃん!そーかー、俺はHEROタイプなわけね。

本名のひらがなだと…
 64%は「オースティン・パワーズ」で出来ています
 32%は「ブレード・ランナー」で出来ています
 3%は「不思議惑星 キン・ザ・ザ」で出来ています
 1%は「悪魔の毒毒モンスター」で出来ています

→あはははは(^◆^)言い得て妙!カッコつけてるおバカだ。

tzuccaでやると…
 60%は「デリカテッセン」で出来ています
 19%は「プリティ・ウーマン」で出来ています
 9%は「サウンド・オブ・ミュージック」で出来ています
 8%は「マイ・フェア・レディ」で出来ています
 4%は「スター・ウォーズ」で出来ています

→いやん。ちょっと猟奇な乙女じゃないのぉ、これじゃ!

身近な人の名前を本名や呼び名でいろいろ入れて、遊んでみたのね。
そしたらなぜか、数パーセント「悪魔の毒毒モンスター」入ってる人が
すっごく多いの(笑)
みんなも、遊んでみてね!(ニヤリ)
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  by tzucca | 2006-04-15 00:27

東京大震災のシミュレーションドラマ

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日テレでオンエアされた東京大震災のシミュレーション・ドラマ。
残業しながらテレビつけて見てましたよ。
ドラマの舞台となる汐留の日テレタワーは、僕の職場がある勝どきから、隅田川をはさんだ向こう岸。東京直下型の場合、東京のどこにいてもヤバイんだけど、ドラマでやってる場所のすぐ近くとなると、臨場感が違う!

高層ビルのコワサをドラマではやっていたけど、ここ、勝どきでは別のコワサがあるんだ。埋め立て地だから地盤が弱い。そして、本土へは橋を渡らないと戻れない!
東京湾花火大会の時、晴海方面から本土に戻るために、人が一斉に勝鬨橋(かちどきばし)か佃大橋に集中するので、大変な騒ぎになるんだ。それでも警備が配置されたコントロールされた状況下、地震でパニックになった状態では……。

避難場所は、晴海通りをまっすぐ銀座方向に進んで、皇居に行くものと思ってたんだけど、第一避難場所は近くの学校、そして次は皇居と逆方向の晴海埠頭公園。
ええ〜、なぜに海の近くへわざわざ。
私たちは、本土に戻ってはいけないの?津波が来たらどーすんのよ。

でも一番コワイのは、地下鉄に乗ってる時に地震が来る場合かな。あと通勤で河を2つ渡るんだけど、その鉄橋の上で脱線したらと思うと……ブルブル。僕、泳げないから。

そして、トイレが困っちゃうよね。閉じこめられて数日間トイレが使えない状況って!


a0028078_322056.jpgドラマは、「たぶん大丈夫だろう」と思ってても、現実には…ってことをいろいろ気づかせてくれた啓蒙に感謝。でも、ホラー映画のような効果音はねぇ…(^^; シミュレーションという視点より、いたずらに恐怖心をあおってるみたいで。CGはちょっとチャチだったけど、棚が倒れてテレビが落ちてくるあたりは怖かったぁ。
テレビを見ていて、日テレタワーで働いてる友人Mをつい心配しちゃったけど、都市整備された汐留のビル群はまだいい方だよね。老朽化された建物や飲食店が密集したエリアは、もっとヤバイだろうから。

僕、いざとなったら、サバイバルにあまりに不慣れで役に立たないヤツだろうけど、ドラマ見ていて、報道や情報を伝えることであれば力になれるかもと思った。現実になったら、現実の大きさに途方に暮れて、自宅に無事帰れることだけ考えちゃうと思うけど…。
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  by tzucca | 2006-04-04 02:02 | → LIFE

桜の味って

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ウチの裏手にある広大な自然公園は、さぞかし桜が咲き誇っているだろうと思いきや、ほんの一角だけが桜ゾーン。バーベキューでにぎわうエリアには、桜の「さ」の字もありません(笑)
植林された若い桜の木がたくさんあるので、数年後、ここも桜の名所になるのかなぁ。


a0028078_21181572.jpg「お花見は今日中に」というテレビのアドバイス通り、ゆいと2人、その公園でひなたぼっこしてきました(^^)
桜を眺めながら、お取り寄せした柿の葉寿司をつまむ。んふ、風流。
食べるものは、家も近いし2人だけなので、ほかにゆいの自家製大根サラダと桜餅というシンプルお花見。

塩漬けされた桜の葉を巻いた桜餅。桜の味といえば、まずこの桜餅の味を思い浮かべますよね。
お茶のブランド「レピシエ」に<サクラ・ヴェール>というフレーヴァー・ティーがあるのですが、まるで桜餅風味の緑茶を飲んでいるようなんです。おしゃれな名前のティーなのに、桜餅。
それで思ったのは、桜餅系でない桜の味には、どんなものがあるんだろう?チェリー味はあきらかに違うもんねぇ…。
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  by tzucca | 2006-04-01 21:18 | → LIFE

満開の桜は怖い

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満開の桜を見るのが怖かったんです。もっと若い頃は。
デーモン族の人間への無差別合体を目の当たりにしたような、うわああー!と狂気に呑み込まれてしまう感覚に陥るから…。
花が散って桜吹雪となり、枝は葉桜になるくらいになると、ようやく気を落ち着かせて桜の木を見ることができたんだ。
そんなもんで、僕にとっては、満開の桜の下を埋め尽くす宴会する人々の景色って、魑魅魍魎の異界みたいだなと思うんだよね。

けれどもその感覚は、すでに過去形。
今は満開の桜を前にしても、心のざわめきを覚えません。
まるで芥川や梶井といった神経症的文学者の如きナイーブな感性!と気に入っていたのに。

以前はもっとほんのり桜色をしていたと思っていた花びらが、全体に白く見えちゃうのはなぜだろう、なんてことを考えながら、見慣れた街のよそ行き姿みたいな桜景色を、冷静に眺めることができる自分。
歳をとって、感性が鈍ってしまったのかな。
なんとなく自覚しているのは、若い頃に恐れていた狂気なんて、現実の理不尽さや人間のリアルなダークサイドに比べたら、たいしたもんじゃないってことが分かってきたからかも。
それとも、すでにリミッターがはずれていて、いつのまにか狂気の側に足を踏み入れてしまったからなのかもしれない。免疫が作用するくらいの、軽い狂気の1つに成り下がってしまったのかもしれない……。

写真は、今日の勝どきに咲いていた桜。
意識はしてなかったけど、花が密集しているところでなく、まばらで空間のある部分ばかりを撮っているのに気がついた。やはり、まだどこかで怖いのかもな。

コミックス「蟲師 」7巻に収録されている<花惑い>は、古い桜の木についてのお話。
いつものように、しみじみとした静けさと哀しさ、美しさと愛のあるお話だった。
桜が印象的な映画がふと頭に浮かんできた。
鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」。そして大島渚の「御法度」のラストシーン。
この世とあの世の境にある美しさ。「生」を断ち切るための暗示的な舞台装置。
……桜は、やはり、怖いものです。

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ラジオの天気予報が言っておりました。
「日曜日は雨なので、お花見は明日の土曜日に済ませておきましょう。」
済ませておきましょうって、お花見は確定申告かいっ!(笑)
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  by tzucca | 2006-04-01 03:07 | → LIFE

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