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ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

前2作のクリス・コロンバス監督は原作が大好きだったから、原作のダイジェストをそのまんま映像化したような映画に仕上げていました。ストーリーをはしょってつぎはぎな展開になってしまったことを除けば、原作を読んで頭に描いていた通りのイメージがスクリーンに映しだされて、にっこりした人が多かったんじゃないかと思います。
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原作でもひときわダークでシリアスな「アズカバンの囚人」の映画化にあたって、監督がKIDSムービーを得意としたクリス・コロンバスからアルフォンソ・キュアロンに変わり、映画版でも映画のトーンがガラッと変わりました。
すっかり大きくなった主人公たち、ブルーを貴重とした陰影の強い画面…。
今回は原作のストーリーをはしょるのではなく、いくつかの見せ場やキャラや設定を大胆に省いて、成長したハリーを中心に映画独自のアレンジをしてます。
原作との比較にこだわる人にとっては、あーだこーだ言いたいところでしょうが、映画としては、作品としての独自性があってこれまでで一番好きですね。
(原作の方が遙かにいいのは言うまでもありませんが)

ストーリーを映像に置き換えるだけでなく、映像的な見せ方にひとひねり加えられているのが、映画的魅力につながってるんですよ。雨の中のクィディッチのシーンへの切り替わりに、空を舞っている黒い傘から競技場の俯瞰へ移るとか、夜の騎士バスとバスが現れる前の夜の公園にある滴がしたたるブランコ、ヒッポグリフに乗ったハリーが湖上を飛ぶ高揚感、そして不吉なディメンダーの見せ方。大きなカエルを脇に抱えた合唱隊が歌う不吉な歌もいいですね。
映像による語り口は、今回のキュアロン監督はうまいですよ!
エンドクレジットまで凝ってるし。

そして、主人公たちが成長して演技力が身に付いたことから、セリフに自発的な自然さが生まれ、クスッと笑えるヌケを随所に置くことができたのが違いますね。
ハリーは精悍な少年になったし、ハーマイオニーは頭のいい子から一歩ぬけたキュートさがいいし、ロンはひたすら情けないです。

以下は残念なところ大会(^^;
原作のストーリーから映画で描ききれる部分だけを抜いてきた脚本によって、世界観が狭くなってしまったことは否めません。
そしてクライマックスの、ブラックとルーピン、ハリーたちが言い争う場面。原作通りにやるとそれだけで20分はかかっちゃうだろうから、はしょりが目立っちゃった。ここはハリポタの世界でも重要な部分だから、もっとガッチリ描いて欲しかったところ。
あと、マルフォイがただのいじめっ子のリーダーみたいな描き方だったことが残念。そしてヴォルデモードの存在感が希薄すぎることも。暗黒面をディメンダーに集約しすぎました。もっといろいろな暗黒面が存在することで光と闇のコントラストが成立できるはずなのに、平板になってしまった感じはあります。

ハリーたちは制服以外の服装でいることが多いんだけど、これが日本っだたらオール・ユニクロか?みたいな服装なんだよね。
「ハリポタ」は、ファンタジーでありながら現実世界に生きる人間くささが魅力だったりするから、制服じゃない格好を入れたことで、ホグワーツでの学校生活がよりリアルに描けていたと思うんだ。
でも、ファンタジーの世界で人間以外にリアルな〈モノ〉を「画」として持ち込みすぎると、かえって現実とのギャップを広げてしまうから、僕としてはそこまで身近さって必要ないかなと若干思っちゃった。若干ね。みんなはどうだろ?

  by tzucca | 2004-06-27 03:54 | → MOVIE

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