「ダ・ヴィンチ・コード」と「ユダの福音書」

a0028078_2555680.jpg駅や電車内に溢れる「ダ・ヴィンチ・コード」のモナリザのアップ。まもなく公開される映画、原作本、展覧会の広告。
世界同時公開となる映画版は、どんな仕上がりになっているんだろう?
小説の場合、ストーリー以外のキリスト教の秘密にあたる部分など、文章を理解するスピードは読者それぞれに任されているけれど、映画だと2〜3時間内にまとめないといけないんだもんね。
宗教の歴史番組になりそうなその部分を、どんな風に映画としてストーリーに織り交ぜているのだろう?その手腕が見物です。
教会からかなりの圧力がかかっているらしいですし……。屈せずにストーリーを守ってくれ、ソニー・ピクチャーズ!

TVCMもオンエアされ始めたGWの前半、ナショナルジオグラフィック・チャンネルでは、「ダ・ヴィンチ・コード」に関係する歴史番組を集中放送!
映画公開を前にしてのお祭りではあるけど、ここでは原作を読んでいることが大前提なので、オールネタバレ!
僕が原作読んだのは2年前で、すでに細部のディテイルを忘れているから、いい予習になりました。この状態で映画を観れば、原作のここと違う!という比較に終始せず、映画そのものを楽しめそうです(笑)

さて、そのナショナルジオグラフィック・チャンネルの番組群でも、目玉となっているのが、「禁断の聖書・ユダが残した福音書の衝撃!」
イエスを裏切ったユダ。キリスト教ではたとえ犬の名前でさえユダとはつけない忌み嫌われた名前。ナチスによるユダヤ人大虐殺も、ユダの存在に端を発したと言われています。
1970年代、偶然に発見された古文書が、数年前にようやく専門的な研究が可能な人の手に渡り、「新約聖書」の編纂から漏れた原始キリスト教の「ユダの福音書」であることが判明。番組では、その調査・研究の経過を追ったドキュメンタリーと、そこに書かれた内容をドラマで再現しています。
その内容は、ユダがイエスを裏切ったのではなく、イエスは自分の意志で処刑を選択し、自分をローマ兵に引き渡す大役を、一番信頼を置ける聡明な弟子(ユダ)に託したというもの。

「新約聖書」は、マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネの4つの福音書から成立していますが、一番初期に書かれたマルコの福音書ではユダは悪人扱いされていなかったのに、後期に編纂されたヨハネの福音書では、完全な悪人として描かれています。
最後の晩餐からイエスの処刑、復活まで、宗教の核となるクライマックスは、より万人受けする分かりやすさで語る必要があったわけですね。でないと信者が増えない!ハリウッド映画のような、万人に分かる単純化された悪人キャラクターとして、福音書編纂の後期になればなるほど、ユダが際だってきているようなのです。

発見された「ユダの福音書」は、炭素年代測定から本物の古文書と証明されましたが、内容については真実かどうか疑わしい、というのが研究者・宗教家の多数意見。史実がどうだったのかは分からないにしても、僕としては「ユダの福音書」で描かれたユダとイエスの関係の方が、はるかにあり得る話だと思えました。「新約聖書」がハリウッド映画としたら、「ユダの福音書」はミニシアター系映画のような、等身大の人間らしさを感じます。
番組でも、研究家の1人は「ユダの福音書」をまったく否定するのではなく、上級者向けのテキストという位置づけをしていました。


番組を観ていた僕とゆいは、「ユダの福音書」にあるユダとイエスの関係って、光瀬龍/萩尾望都の「百億の昼と千億の夜」に登場した2人の関係に似てるよね、と揃って口にしたのでした。「百億の昼と千億の夜」は、萩尾さんがマンガ化した初版が1977年で、光瀬先生の小説初版が1972年。古文書が発見された時代と近いという偶然が面白いね。


ーーーーーーーーー

ナショナルジオグラフィック・チャンネル
「禁断の聖書・ユダが残した福音書の衝撃!」スペシャルサイト

→写本の実物をAjax技術で拡大して見ることができますよ。

また、ナショナルジオグラフィックからは、「ユダの福音書を追え 」(著者:ハーバート・クロスニー /関利枝子 )日経ナショナルジオグラフィック社 /日経BP出版センター 1995円(税込)が発売になりました。
[PR]

  by tzucca | 2006-05-03 02:42 | → MOVIE

<< 液晶テレビ購入日記 モーガン・スパーロックの『30... >>

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE