「モーターサイクル・ダイアリーズ」

新年2日目。寒さでだるい。暖房入れて着込んでも寒いって、風邪か?
外に出る気もないので、年越しの大掃除を。気分は猫村さん。
数年ぶりに手を入れたエリアもあって(をいをい)、ゴミ袋の量がハンパない。
いっぺんにゴミ出しできるかなぁ。苦笑。

a0028078_22455544.jpg少しは気分を新たに前向きなキモチになりましょうかのう。昨年見損なって、正月に観ようととっておいた映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」を今こそ観るべきじゃん。先日WOWOWでオンエアされた、この映画のメイキング・ドキュメンタリー「トラベリング・ウィズ・ゲバラ」と2本立てといきやしょう。

「モーターサイクル・ダイアリーズ」は、のちにキューバのゲリラ指導者となった伝説的マルクス主義革命家チェ・ゲバラが、まだ普通の若者だった23歳に、年上の友人アルベルト二人で行ったバイクによる南米大陸横断の旅を描いたロードムービー。
都会の裕福な家で生まれ、喘息持ちの医大生エルネスト・ゲバラが、「この長い旅の間に、何かが変わった」と語った南米大陸の現実を目にした経験。旅をするための旅という、行き当たりばったりの行動の中から、のちにチェ・ゲバラとなる芽が生まれるわけだけど、それはあとになって振り返った時に分かる人生のターニングポイント。現在進行形の状態では、普通の若者二人が旅の苦難を乗り越えたり、見知らぬ土地や人々と出会う喜びや驚きだったり、等身大の人間がそこにいるわけで。
この映画の冒頭に現れる、

  これは偉業の物語ではない
  同じ大志と夢を持った2つの人生が
  しばし併走した物語である

  エルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナ 1952年

というテロップから分かるように、この映画は伝説の革命家のビギニングを描くわけではなく、その若者の旅はどんなものだったろうという追体験から、自然に二人へ愛しい眼差しを向けていけるものになっていました。

タイトルからすると、南米をずっとバイクで旅すると思っていたのですが、旅の途中でバイクはお釈迦になって、それからは徒歩だったんですね。舗装されていない山道や雪の中をバイクで移動するのは、相当大変だったんだろうなぁ。バイクの性能も、今と比較にならないものだったろうし。
大きな荷物とタンデムで走り抜けていくバイクと南米の美しい景色を楽しめる前半は、観ている方も風を感じなら旅しているかのようなキモチよさ。

バイクはアルベルトのものだったし、年上で処世術に長けていたから、自然とリーダー的立場だったのが、バイクと決別してからはエルネストの静かな熱さが前面に出てきて、リーダーとなっていくのが面白い。
エルネストのバカ正直とも言える実直さが、旅を続けていくうち次第に強くなっていくんだよね。たぶん普通の人だったなら、旅という経験から次第にずる賢く世の中を渡っていくようになるのではないかと思うのだけど、彼の場合は違ってた。
アマゾン川の奥深くにある重度ハンセン病患者の隔離施設でのボランティア活動において、エルネストの真っ直ぐな心と熱さは、患者たちからの絶大な信頼というカタチで圧倒的な魅力になっていく。

エルネストを演じたガエル・ガルシア・ベルナルがとってもイイんですよ。笑顔にやられる。実物のチェ・ゲバラってかなりの男前だし、その見た目も人を惹きつける魅力の1つだったろうと思うけど、あえて実物に似せようとせずに、ガエル・ガルシア・ベルナルのナイーブさとパッションを併せ持つ魅力をそのまま見せたことで、この映画は成功したと思うんだ。喘息の発作で苦しむ演技もリアルだった。
ガエル・ガルシア・ベルナルは、「アモーレス・ペロス」ですごく印象に残った役者さんで、「ハリー・ポッター アズカバンの囚人」監督作の「天国の口、終りの楽園」がすごく評判よかったので、これは観ておかねば!と。あと昨年は「バッド・エデュケーション」も公開されてましたね、これも早くチェックしないと。

ところで「モーターサイクル・ダイアリーズ」は、内容もさることながら、それを伝える映画手法もイイ感じでした。構図を優先させ被写体を客観的に捉える固定カメラではなく、自分が透明人間になって二人の若者に寄り添り一緒に旅をしているかのような気分になる、ハンドカメラの映像。人の目線で揺れ動く画面が、すごくエモーショナルなんだよね。
あと、旅先で出会った貧しい人々の記憶が、モノクロの記念撮影みたいな画面で表現されていたこと。これ、写真でなく静止した人物のムービーなんだよね。じっとこちらを見ている人々の視線に込められた思いが、「自分になにができるのか」という問いかけにつながっていくのが見事でした。というか、すごく繊細な演出です。

過剰に説明を入れず、起きた出来事をそのまま追体験していくことで、彼らの言う「旅を旅する」感覚を共有できるような錯覚。ある意味淡々としすぎていて、つまらないと感じる人がいるかもしれませんが、僕はこの距離感のとり方に感心しました。ウォルター・サレス監督の目がとてつもなく澄んでいて温かいんだよね。
政治的な背景を丁寧にアク取りされた描き方なので、素直に青春ロードムービーとして観ても、爽快な気分になれる作品です。そして、自分にとっても「自分になにがなせるか」を今一度考えるきっかけを与えてくれる作品でした。

長くなっちゃいました(^^;
もう1本続けて観た「トラベリング・ウィズ・ゲバラ」は、「モーターサイクル・ダイアリーズ」のアルベルトご本人がまだ存命で、監督や役者に本当はどうだったかをアドバイスしながら、撮影隊と一緒に50数年前の旅を追体験していく様子を追ったドキュメンタリー。たんなる映画のメイキングでないすごく興味深い作品でした。
「モーターサイクル・ダイアリーズ」が好きな人は、ぜひ。

「モーターサイクル・ダイアリーズ」角川ヘラルド公式サイト
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  by tzucca | 2006-01-03 21:49 | → MOVIE

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