クリスマス・イブに、もしキャンドル屋が…

a0028078_253191.jpgイルミネーションに飾られた街路樹で、見慣れた駅前の風景が気恥ずかしいほどファンタジーになるこの時期。
クリスマスでございますよ。本当はキリストの誕生日ではないんだけど、世界中同時のお祝いイベントですもの、華やかなのはいいことです。

その地元の駅前にあるコージーコーナーとケンタッキーに、ぎょっとするほどの行列ができておりました。世の中プチバブルとか言われているけど、ここには庶民の生活があるわーと、ちょっと距離を置いてその風景を見る僕。すると頭の中に、<もし、コージーコーナーとケンタッキーの隣に、中年夫婦が商いするキャンドル屋があったなら…>という想像が膨らんできたのでした。

<以下、想像のストーリー>

「キャンドルはいかがですかー!クリスマスにキャンドルはいかがですかー!」
両手にキャンドルを握りしめたおばさんが、道行く人に大声で呼びかけています。
コージーコーナーとケンタッキーの店先からのびた行列で、歩道は大混雑しているのに、そのキャンドル屋の前になると急に渋滞緩和。キャンドル屋のおばさんを誰も見向きもしません。
どうして誰もキャンドルを買わないのかねぇ。クリスマスなのに…。
前かけのポケットに握っていたキャンドルをしまいながら、おばさんがつぶやいていました。
「たぶんケーキにキャンドルがついてきてるからじゃないかな。」僕が見かねて声をかけるとおばさんは、
「わかってるわよ、そんなこと。でもせっかくお店の前にこんなにたくさんの人がいるじゃないの、わたしらだって少しはあやかりたいじゃないの。」
ちょっとさびしそうに、枯れた声でつぶやきました。
そして、とぼとぼと店の中に入っていくと、もうちょっと話に付き合ってくれない?という目で僕を見つめるのでした。
「ここが繁盛するのは、ちょっと大きな地震があった翌日と、台風の時くらいなの。」
店の中はほっとする暖かさです。でも、ドアの横に置かれたクリスマスツリーだけがこの店唯一のクリスマスデコレーションであることに、ちょっとうすら寒さを感じました。
「ごくろうさま」そういって奥からご主人が現れました。しかもレイザーラモンの格好をして!唖然としていた僕に、「ああ、これね、裏の居酒屋のゴミに出されてたんです。流行だから、受けるかなと思って…」と聞いてもいないのに言い訳をしてくれました。鍛えていない中年男のだらしないカラダとかさついた肌が、妙に痛々しいレイザーラモン…。
「でもご主人、その格好で店先に立てば、それなりに目立ってお客さんが来るかもしれないじゃないですか」と目を合わさないように言うと、「だって、寒いじゃないですか」と間髪入れずにきっぱりと返されました。しばし間があって、弱々しく「フォ〜」と付け足してくれました。
「それよりも、その格好でキャンドルを握りしめてると、クリスマスからかなり離れちゃいますよ。<聖なる夜>じゃなくて<性なる夜>への誘いって感じです。」
ご主人は「そうかもしれんのう…」と一言。そしてしばらくの沈黙。店の外から、陽気なクリスマスソングが聞こえてきます。ドア越しには、コージーコーナーやケンタッキーのバレルが入った袋を下げた人々が歩き去っていくのが見えました。

<想像のストーリーおわり>

なに考えてんだ俺。しばし寒空につっ立っていたので寒くなってきちゃいました。
コージーコーナーに並ぶ人で店先を塞がれた大好きなたい焼き屋さんがかわいそうだったので、つぶあんのたい焼きを家族分買うことにしました。
さあ、急いで帰って「オーラの泉スペシャル」観ないと。

そんなクリスマス・イブでした。
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  by tzucca | 2005-12-25 02:54 | → LIFE

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