完成度の高さに拍手!映画「バットマン・ビギンズ」

a0028078_3213854.jpg公開以来、シリーズ最高傑作!というレビューをあちこちで見かけましたが、はい、その通りです。見事な完成度の映画でした。

ティム・バートンが作り上げたシリーズ1、2作目も大好きで、登場人物がみな不幸のどん底でめちゃくちゃダークな「バットマン・リターンズ」はかなりのお気に入りでした。アメコミの世界を実写版でスクリーンに描き出すのに、画家の感性とともにダークな世界を創り出すティム・バートンは、これ以上ないクリエイターだったと思うわけ。でも、バットマン・シリーズがその後終息してしまったのも、ティムの創り出した世界観が絶対的すぎたからとも。(しょぼいシリーズ4作目も、バットスーツのレザーフェチぶりだけは好きだった)

アメコミのヒーローを映画化するにあたって、「スパイダーマン」が1つの転機になったと思うんだよね。ヒーローを1人の人間としてちゃんと描くこと。そうすることで、なぜ悪と闘うかの葛藤や意志の強さを思い知ることになるしっかりとした構成。
「バットマン・ビギンズ」では、コミック・テイストとティム・バートンの世界観を捨て去ることで、ヒーローとなり得る人間の内面をしっかり描きつつ、すべての設定が現実味のある描き方に変わりました。
幼少時代に体験したコウモリへのトラウマ、両親を目の前で殺害されたことで憎しみと罪悪感に支配されてしまう苦悩の日々。復讐が正義でないことを突きつけられ、答えを見出そうと放浪の旅に出るブルース・ウェイン。

バットマンは生身の人間なのに、なぜ人間離れしたファイトが可能なのか、という答えがそこに描かれるんだけど、そこまで1つの感情に身を投じることができるのも金持ちだからなんだよね。善行のために生活が苦しいスパイダーマンとは違います。でも、金持ちであることをまるで否定しないのもブルース・ウェインらしいところ。

正義とは何か?善悪とはなんなのかという問いとともに、「それは結局自己満足なのでは?」という自己つっこみが、すべてを他人の幸福に捧げる生き方よりもリアルな人間性の奥行きを感じます。
彼の感情は、ファイトしている時にしかかいま見えません。人との距離をとって、アルフレッドとともに孤独な生活を選ぶウェイン。感情や表情のなさは、悟りのせいなのか、強い意志のせいなのか。2重生活を送るためのカモフラージュなだけなのか。
それでも彼は、自分の成すべき事を見つけ、それを使命として生きていくことになります。立派だったお父様の名が常につきまとうけれど、生活に不自由しない身で、彼なりの方法でゴッサムシティを悪から守ってくれたまえ!

自ら恐怖のシンボルとなり正義を成す屈折した考え方がともかくステキで、俺もその方法論で生きていくべきかと励まされました(笑)
積荷の倉庫で、悪人どもを追いつめていくホラー演出がいいですね。
関係ありませんが、「個人情報保護法」の対策で、<性悪説>に立った対策が必要と諸々の本にありましたが、それだけでは絶対に防ぎきれないのも事実で、人は元来弱いものだとする考えに立つことが必要とある弁護士さんが言っていたことに共感しました。恐怖政治につながる権力者ではなく、悪の蔓延をくい止めるためシンボルとしての恐怖となった正義の味方バットマン。ダークサイドのパワーも使いようです。

ところで、戦い方やバットスーツや数々の武器は、今まで執事のアルフレッドが伝授したり製造・メンテしていたと漠然と思っていたんだけど、そういう武闘派エンジニアな人には見えなかったので、今回それぞれ担当の人がいたんだと分かってほっとしました(笑)バットモービルの走行シーンは、メカ好きにはたまらないよね。さまざまなギミックや自作するところもワクワクしちゃいます(「リターンズ」でキャットウーマンがミシンで衣装を自作していたシーンも大好きでした)

歴代ブルース・ウェインの中で、今回のクリスチャン・ベールが一番ハマってました。闘うための肉体と、繊細な顔つきのアンバランスがいい。成金ではなく裕福な親の子という品も漂っているし、なによりアクションがいい。
B級SF「リベリオン」で、独特な武術アクション<ガン=カタ>を演じた男だけある。ただ、バットマンになった時の話し方が、どうしてあんな声で?とは思ったけど。

渡辺謙は出演シーンこそ短かかったけど、十分な存在感でサスガでした。強力な「目力」ですね。そして毎回いい味出しているアルフレッドは、今回役者がマイケル・ケインになったけど、目の演技で泣かせてくれました。アルフレッド大好き!
またブルースの父親を演じたライナス・ローチが妙に記憶に残りました。と思ったら、1月前に観た「フォーガットン」に出てましたね。さらに言えば「司祭」にも出てたのね。なるほど。

監督のクリストファー・ノーランは、アイデア勝ちだった「メメント」以上の作品を作れる人とは正直思ってなかったので、この「バットマン・ビギンズ」の全身全霊を傾けた出来には驚きでした。アクションのカット割り、回想シーンのインサートの見事さ!ゴッサムシティの朽ちた感じ、ブラック&オレンジの色彩設定、どれも二重丸。
そして、同じセリフを反復することで人物の関係性を明確にする脚本もニンマリです。
ブルースの苦悩をここまでしっかり描いてくれちゃうと、「エピソード3」のアナキンの描写に物足りなさを感じずにはいられません。でも「エピソード3」はルーカスという監督にとって全身全霊を傾けた作品になっていたので、それはそれで仕方ないと思いますけど…。

a0028078_3325621.jpg僕はアメコミのマニアではないのですが、バットマンでは「aRKHAM aSYLUM」という本を持っています。いわゆるアメコミ調の絵ではなく、水彩のイラスト風コミック。絵の素晴らしさもさることながら、全ページアート感覚が炸裂していて、すごく刺激になります。この本のタイトル「アーカム精神病院」は、「バットマン・ビギンズ」に登場したあの精神病院。この本は映画の原作ではないのですが、アメコミ調とは違うリアルなイラストという点が映画の印象と重なって、うれしくなりました。


(2005年7月3日・バージンTOHOシネマズ六本木 スクリーン1)


バットマン・ビギンズ日本版公式サイト
→WindowsではIE6/Firefox1.0、MacはOS-XのFirefox1.0/Safariでないと見ることができません。
◆品川メルシャンIMAXシアターで、IMAXバージョンが公開中。次観るとしたら、ここだな。
BATMAN-NEWS(英語)
→「バットマン・ビギンズ」のポスターバリエーションやスチル写真ほか、シリーズ通しての画像が集まっています。
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  by tzucca | 2005-07-04 00:20 | → MOVIE

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