映画「ヴィレッジ」

公開時に見損なった映画シリーズその2。
「シックス・センス」以来ネタバレ厳禁映画を作り続けるM.ナイト・シャマラン監督作品。
<ストーリーを語ってはならぬ作品>というスタイルと監督本人がチラッと作品中に登場することから、<第2のヒッチコック>と言われているシャマラン監督の最新作は、圧倒的な映像の美しさと目に見えぬ存在への恐怖感を巧みに表現した、謎も納得のステキな作品に仕上がっていました。個人的には途中で仕掛けが分かってしまった「シックス・センス」よりも好きな作品。

森に囲まれた村では、電気のない時代の幸福な生活を人々は送っていたが、隣接する森には決して入ってはいけないという掟があった。目に見えぬ森に棲む者への恐れから、夜は村の周囲に篝火がたかれ、見張り台から監視することが慣習となっている。さらに赤い色は不吉な色とされ、マスタードイエローが村の安全を象徴する色として、村を囲む篝火の柱やマントに使われていた。
ただし、村と森の間には協定があり、それぞれの領域を侵しさえしなければ、互いの領域に入ることはないとされている。しかし村の年長者たちの口からは、森の先にある「町」の非情な出来事が語られる。かつては、森を通って町に行き来することができたのか?誰が森に棲む者たちと協定を結んだのか?
しかしある日、村の家畜の死体が発見された。毛をむしられ、首をひねられた死体。それは、森に棲む者の仕業なのか?

ストーリー構成の罠を期待してシャマラン監督作品を観る人がほとんど。だから公開までストーリーは厳重に秘密にされていました。
観た人もストーリーを語れないお約束から、期待せずに観たら感動したとか、監督のカメオ出演部分がわかった、というコメントをネットで多く見かけます。さらに前作「サイン」が期待はずれだったという人も多いのが分かりました(^^;

ミステリーサークルと超常現象をモチーフにしたメル・ギブソン主演の「サイン」は、予想もできないほど静かでスピリチャルな作品でした。「シックス・センス」はよくできた映画という印象以上を持てなかった僕ですが、「サイン」を観てシャマラン監督を見直したくらいです。(アクションをしないメル・ギブソンも、その後「パッション」を監督した敬虔さを思うと適役でした)
UFOの襲来を描くことはサイドディッシュで、メインディッシュは神の不在を嘆く神父と小さな奇跡なんですよね。静かな静かな展開は、まるでベルイマン映画を観ているようでした。よくぞハリウッド・メジャーでこんな映画を作れたもんだ!

 正しく生きているはずなのに、なぜ悲しみをお与えになるのですか?

「ヴィレッジ」の根底にあるものも、この問いかけだったように思います。
ただしこの作品は、「サイン」よりもメインディッシュとサイドディッシュのバランスがよくできていました。森の不気味さと若者の恋、そこに横たわる村の秘密。
シガニー・ウィーバーやウィルアム・ハートといった名優が、抑えた演技で脇を固め、盲目の少女アイヴィーを演じるロン・ハワード監督の愛娘ブライス・ダラス・ハワードの存在感が素晴らしかった!

ストーリーは語れませんが、この映画で特筆できる映像の美しさについては語りたい!木々の枝をなめるように見せるオープニングからして、「画」の美しさでビビッときました。電気のない村を表現するのに、自然光や火によって照らし出される絵画のような村の風景、人物の顔。
自然にある色は、ディスプレイで再現できる約1670万色よりもはるかに豊かです。象徴的な赤とマスタードイエロー以外の色を、ハデにならない階調の中で描いた色彩設計も見事です。
そして、構図!かつて映画を学んでいた学生時代、「第三の男」を観て、どのシーンも名場面と呼ぶにふさわしい完成度だったのに驚愕した覚えがありましたが、「ヴィレッジ」の各シーンの完成度、丁寧な作りにも、すっげーと素直に感動しました。

娯楽作品の蓑をかぶった芸術作品。シャマラン監督作品の潜む罠は、ストーリーだけではないんですね。
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  by tzucca | 2005-05-23 01:06 | → MOVIE

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