ネタバレ厳禁!映画「SAW ソウ」
まるで「CUBE」の出だしのように、唐突で異常なシチュエーションから始まるこの映画。やがて少しずつ分かってくる状況の詳細と、ゲームの残酷さ。この語り口の巧みさは、見事にハメられます。広告コピーにあるように、「CUBE」と「セヴン」、そしてダリオ・アルジェントの映画が好きな人には、かなりイケる映画の登場です。
異常な状況で、情報が少ししか与えられないと、観客はその少しの情報に飛びついて、状況把握のヒントにしたくなります。タイムリミットとそうなって欲しくないと願う心理の波をつかんで、オレオレ詐欺のように先手を打つ展開。
密室で動けない2人と、過去と外の世界で交錯する伏線。ちらばったピースが、2つ3つと合わさっていくうち、ちょっと予想外な絵柄が浮き上がるジグソーパズルのよう。ピースそのものはありがちなねたで、ヘタすればアイデア負けしちゃいそうなところを、サスペンスの手法とホラーを合体させたソリッドな演出で、終始心臓バクバクでした。よくできた映画です!
「シックス・センス」のように、ラストを語るのは厳禁の映画。
でも、途中でラストが分かることはまずないでしょう。そして、観終わったあと、タイトルの意味が分かってにやりとします。
この作品が驚くべきなのは、若干28歳の監督が18日間で撮りあげたものだってこと。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のような低予算を逆手にとった作り方ではなく、きちんと正攻法で作られた映画なんですよ!情熱と勢いで、やりたかった企画を自分たちの手で実現させているパワーが、確実に映画全体のテンションに反映されていると思いました。
「生」を実感できるのは、それが危機に瀕した時。
余計な事前情報を入れずに観るべし!
*パンフはネタバレしてます。観る前に買わないように。
(2004.11.1 ヴァージンシネマズ六本木)
「SAW ソウ」
2004年アメリカ映画・103分・ビスタサイズ・ドルビーデジタル
監督:ジェームズ・ワン
脚本&主演:リー・ワネル
■日本公開は、サンダンス映画祭、カンヌ映画祭で上映されたバージョンより、表現やいくつかのシーンを緩和させた全米公開バージョンで上映されています。
サンダンス/カンヌで上映された"問題の多いバージョン"は、日本では東京ファンタスティック映画祭での1回のみの上映でした。
◆「SAW ソウ」オフィシャルサイト
by tzucca | 2004-11-01 23:55 | → MOVIE